自分は死刑肯定派です。
理由は
①因果応報。
②犯罪の抑止になる。
③遺族が前向くためのひとまずの決着。
④殺人犯を生かすために税金使う?
といったところ。
でも、世界的には死刑廃止の方向に進んでいるので、よく分からないけど廃止の方が正しそう。
それに、いつ自分が裁判員に選ばれるか分からないし、その時になんの知識もなく感情論的に「死刑」と意見するのはどうかと思う。
なので、「自分はなぜ死刑を肯定するのか?」の答えを出す目的でこの本を読んでみました。
死刑廃止論と死刑存置論の論点
①死刑に特別な威嚇力があるか
②誤判の可能性をどう考えるか
③国民の法感情をどこまで考慮するか
④合憲か違憲か
という感じ。
世界では廃止が多数派
廃止144カ国(事実上の廃止含め)
存置55カ国
廃止になったのは
例えばドイツは戦争の反省として、
イギリスはエヴァンス事件(冤罪事件)がきっかけで、
死刑は残酷であるという観念が形成されたことがポイントとしてあるそう。
また、死刑廃止後に殺人事件が減少したという事実があるようで、自分が考えていた「犯罪の抑止になる」は間違っているっぽい。
ただ、死刑に特別な威嚇力があるかないかについての研究では、どちらの報告もあるようで明らかにはなっていないと。
日本はなぜ死刑存置しているか
世界からは廃止するよう言われているみたいですが、「日本には死んで償うという文化がある」と突っぱねているようです。
文化相応主義というやつで、それぞれの国の価値観があるよねみたいな感じ。
応報主義でもあって、報いを受けるべきというというのが一般的な価値観としてある。
2020年の世論調査で「死刑もやむをえない」という意見が80.8%だったと。
応報主義は「かわいそうな被害者」「許しがたい犯人」というイメージを印象操作的に強調するメディアの煽りにも責任がある。
アメリカの死刑執行は限定公開で一般の人にも公開されているのに対して、
日本は密行であることから、死刑のリアルな情報に触れる機会がなく、日本人の死刑に対する意識が低いことも原因だと。
日本の事件報道は逮捕がヤマで、確かにその後についてはほぼ情報がない。
「死刑!死刑!」と同調圧力に流されて、死刑判決が下りたら「よっしゃ、お疲れー」って感じ。
「自分はなぜ死刑を肯定するのか?」の答えは
自分は応報主義で、同調圧力を煽るメディアに流されているから
に着地しました。
メディアの印象操作は大嫌いなので、流されないように知識を得たうえで自分で考えていこうと思いました。
入門書ではありますが、この本を読んだことで死刑肯定の意思が揺らいだのと、自分なりの意見が持てました。
肯定が揺らいだ理由
そもそも刑罰は残された人のためにあるべきと思っていまして、その人達が前を向くためにひとまず決着をつけるために死刑が必要と思っています。
が、この考えを揺るがす一文がありました。
それは「死刑を廃止することによって、遺族の救済が社会的な関心事になり、放置しておけないことになるという見解がある」というもの。
死刑執行までに数十年を要すこともあり、決着がつくのが遅すぎる…。
それならそもそも死刑なんてないんだから、「刑罰は国に任せて早くから前を向こう」となった方が建設的だなと…。
本を読んで今の意見
誤判が起こりにくい仕組みにしていく努力は常にしていきつつ(日本の裁判は冤罪が生まれやすい構造になっているらしい)、死刑執行を早めて決着を早くつけて、社会全体が遺族の救済に意識を向けるべき。
でも、世間の関心が遺族の救済に向くためには死刑廃止が必要と思う。
それに、もし自分が国を作るとしたら、個人の復讐を国家が代行するようなことはない方がいい。
ルールは感情的ではなく論理的であった方がいいと思う。
だから死刑は廃止した方がいい…となってしまいました。
ちなみに死刑より無期懲役の方が費用はかからないそう。
本を読む前の自論は半分くらいは否定された感じです。
次は死刑肯定を論じている本を読んでみようと思います。
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